最近は時間の概念や未来について以前にも増して考える機会が増えた気がします。
というのも、社会に出てから現在に至るまで20年という歳月を体感し、時間軸の早さを知っているというのが大きいのかもしれません。

今回紹介する書籍の共通点がありました。「これから確実に起こる将来のリスクと適応」です。
1冊目では「今しかできないことに金を使う」、2冊目では、「絶望を俯瞰し環境に適応する」というメッセージが象徴的です。

時間は有限であり、1日1日が確実に未来へ進み、平等に死が訪れます。
なかなか考えることのないテーマではありますが、少しだけ立ち止まり、今後の人生を考える上でこの2冊は参考になるのではないかと思います。

1冊目:DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

著者:ビル・パーキンス 訳:児島修
出版社:ダイヤモンド社 (2020/9/30)

本書では「人生の仕事は思い出づくり」と定義しており、筆者は思い出を「記憶の配当」と表現しています。配当という言葉の通り、体験したこと自体に代えがたい価値があり、その経験が糧となり人生を豊かにしていきます。そして、思い出は金では買えません。

最近はメディアでもFIRE(Financial Independence, Retire Early「経済的自立と早期リタイア」)関連のコンテンツをよく目にしますが、本書はこれらの経済的自立という考え方以前の概念であり、人生の幸せや意義、目的を問うものとしておすすめです。

本書では、富と喜びをこのように表現しています。
「富を最大化することではなく、人生の喜びを最大化することを探す」
「喜びを味わう機会を意味もなく延期しない。明日死ぬとしたらどんな行動を取るか?」

私個人のエピソードを2つ紹介します。
1つ目は2015年の起業
2つ目は2016年のニューヨーク一人旅

この二つは私の人生の中で振り返って最も「記憶の配当」が効いている体験です。
強烈な思い出や体験は、長きにわたって人生に大きな影響を与え続けます。
またこの当時、私は30代中盤だったわけですが、金の価値を最大化させる年齢というのがある程度決まっており、26歳から35歳としています。若すぎても老いすぎても難しいとのことです。

なので、FIREのような考え方は少し危険で、この価値を最大化させる期間に金をためずに使えということです。「記憶の配当に対する利回り」が良いということですね。

また、「健康は金よりも重い」とも説いています。
金から価値を引き出す能力は年齢とともに低下するので、金、健康、時間のバランスが大事であると。私自身も「健康の改善は人生の改善」であると思っています。

最後に、「非対称リスク」という概念についても学びました。
若いうちは失うものがない為、リスクをとってでもチャレンジをするべきというのは一般的な意見だと思いますが、失敗も資産になり、記憶の配当を生み出すこと、そして行動しないことへのリスクが定義されています。

まとめるとこのような図です。(手書きのメモですみません)

最後に、本文から引用となりますが、この言葉が本書では印象的でした。
「あなたが誰であるかは、毎日、毎週、毎月、毎年の“一生に一度の経験の合計”で決まる」

2冊目:2040年の未来予測

著者:成毛眞
出版社:日経BP(2021/1/8)

冒頭に触れた通り、社会に出てから20年の歳月が経ち、僕にとってこれからの折り返し20年の世界がまさに2040年です。そう考えると時間はあっという間です。

実は発売当時に購入し、なかなか読み進められずに所謂、積読(つんどく)していた書籍です。
読み進められなかった理由は明確で、本書の内容は日本衰退における絶望のシナリオを明確に表しているからです。アマゾンレビューを見ると私と同様の意見も多いようです。

2040年に日本におこること
・人口1億1千万人(3人に1人が老人)
・高齢者を1.5人で支える社会構造(1995年は12人で1人)
・年金は70歳受給がロールモデルに
・東京の地価の下落(シェアリングの拡大)
・大学の価値の低下

これらの根底にあるのは、人口減少(圧倒的な少子高齢化社会)です。これはもう政策ではどうにもならないレベルとのこと。では、これらをどう解決するかというのが、テクノロジーやシェアリングエコノミーです。

今までの20年と、これからの20年の変化のスピードが、経験したことのないレベル感でやってきます。2040年には全自動運転が可能となり、空飛ぶクルマも実装されています。また、医療の発達もめまぐるしく、iPS細胞の研究によって、リアルに100年を生きる時代になりそうです。

最後に筆者はこうまとめています。(引用)

「生き残るためには環境に適応しなければならない。生き残るのは優秀な人ではなく、環境に適応した人であることは歴史が証明している。人間は想像力を超えた現実には太刀打ちできない。最悪の事態が想定できていれば右往左往することはない。」

決して明るい未来とは言えませんが、個人レベルで適応力を上げることでこれからの未来にも適応ができそうです。ただ、想像を超える最悪のシナリオよりも悪くはならないというレベルです。その為に何ができるか考えて行動をしていきたいものです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう。

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新井 学@BizLinks|ほぼフルリモート経営

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