今回はフィールドセールス(商談をする営業)について僕が感じてきたここ数年の変化と今感じている長期的な未来の在り方について書いてみたいと思います。

以前書きましたマーケティングの正体インサイドセールスの誤解と合わせてお読み下さるとよりBtoBビジネスの理解を深めて頂けるかと思います。

カタチあるもので差別化ができなくなった

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既に使い古された言葉ですが、新型コロナウィルスによってテレワークが進み、営業のDX化が大きく飛躍しました。ここ2年でテレワーク、DXという言葉を一生分使い果たした気すらしています。
ともあれ、お客様からは“訪問”という単語自体聞かなくなって久しく、当社はオンラインアシスタントサービスを提供している手前、直近1年の訪問はゼロで名刺交換をした記憶も定かではありません。


twitterでの投稿(5月26日)

リアルな接点が無くなったことで名刺、資料、スーツなど初めからそんなものが無かったかのように、カタチあるもので差別化ができなくなりました。これは効率化や生産性を上げるという点では非常に歓迎すべきことです。

ZOOMで全ての営業活動を完結することを余儀なくされた僕たちですが、オフィスも営業マンさえも横並びとなり、“見た目でなく中身“が価値基準となることで、ビジネスを評価されやすいフラットな環境になったわけです。

分かりやすく言えば、当社のように設立7年のベンチャーでも大手企業に臆することなく提案ができ、お取引できるような環境が用意されたということになります。

コロナ禍でもITやベンチャー企業に活気があるのは、このようにサービスやプロダクトを正当に評価いただけているからだと思います。お陰様で当社のサービスも大手企業のマーケティング部門へリソース不足解消のお役に立たせて頂いております。

デジタルで出会いオンラインで意思決定をしていく

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マーケティングの正体でも触れた通り、商談をする営業の役割や在り方が外部環境によって大きく変化し、今後も変化は加速し続けると僕は見ています。

僕が社会に出てから今年でちょうど20年です。
この20年でインターネットが民主化され、スマホ片手に常時アクセスをし、営業は訪問をしなくなりました。この変化ってよく考えるとすごいですよね。

20年前、新卒だった僕は固定電話と電話帳が仕事道具で、テレアポして地図を印刷して訪問に行き営業ノルマ達成を目指すというわかりやすい新人営業マンでした。

調べると、スマホは10年前の普及率が18%で現在は94%です。
現在は、ほぼすべての人がスマホを中心に生活しています。これもたった10年の変化なんですよね。

広告業界も大きく変わり、数年前にインターネットがテレビを抜き、マスメディア広告ではインターネットメディアがトップの媒体となりました。
グーグルはじめGAFAが覇権を握るのも頷けます。もはやテレビは役割を終えつつあります。

特にBtoBのビジネスでは、リスティング広告をはじめデジタルでの見込顧客獲得が欠かせません。
20年前に僕がやっていたテレアポもリード獲得としてはまだ有効ではありますが、コロナ禍でオフィスレスになる企業も多く、物理的にも不可能になってきており、テレアポ会社は今後縮小傾向となるでしょう。テレビが役割を終えるのと似ていますね。

フィールドセールスは今後も自然の流れとして訪問は減り、初回、クロージング、契約行為すべてをオンラインで完結させなければなりません。
訪問からオンラインへシフト。これが現在の営業の姿ですよね。

待ち受ける未来は圧倒的人手不足とまったく新しいテクノロジーの世界

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訪問がオンラインに切り替わりそのあとに何が起きるでしょうか。
向こう20年で起こる変化は大きく2つです。

  • 1.大幅な人口減少(ビジネスパーソンを含めた人的リソースの圧倒的不足)
  • 2.地殻変動レベルのテクノロジー革命(Web3.0、DAO、メタバース、AIの躍進)

1.簡単に言うと、2040年に日本の人口は3人に1人の割合が老人になると言われています。
既に分かり切っていることですが、街で若者を見つける方が大変になるという世の中です。

そんな中で今まで通りにオンラインで商談をするという行為すら現実的ではなくなるでしょう。もはや営業の新卒採用や教育といったことは無理ゲーに近くなり、中小企業は自社で営業組織を持つこと自体がリスクになる時代がくると考えています。

2.ざっくり言うとWeb3.0(「メタバースとWeb3」)というテクノロジーの地殻変動が起きます。
DAO、NFT、メタバースなど様々なバズワードがありますが、簡単に言うとインターネットの概念そのものがアップデートされ、AIが営業の代わりに最適な提案をするという世界が現実味を帯びてくると言うことです。

もはや昔見た近未来の映画の世界がやってきます。2030年頃にはタクシーをはじめとする輸送手段の無人化が加速度的に進みます。こう聞くと少し現実味があるかもしれません。

今回コロナで営業のDX化が世界レベルで一気に10年進んだと言われています。このような世界レベルのパンデミックが再発すれば、更に変化は加速することでしょう。
そうなったら商談や提案という営業プロセスはもう実行不可能になっているのかもしれません。

それまでに企業はマーケティングやインサイドセールスなどの効率的な組織作りが余儀なくされることになると肌で感じています。

ここまでフィールドセールスや営業の未来について僕なりにシナリオを書き綴ってみました。
大分悲観的な内容になってしまったなと少し反省しています。
(以前レビューした「2040年の未来予想」の書評も参考までにご覧下さい)こちら

日本は人口減少の現実からは不可避ですが、テクノロジーを活用し組織やビジネスをいかに環境に合わせて対応していけるかが企業存続の肝になってくると感じています。

今後20年は僕自身が“脱営業”をテーマに掲げ、マーケティングやインサイドセールスを駆使して組織もサービスもアップデートしていけたらと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう。

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新井 学@BizLinks|ほぼフルリモート経営

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